患者さんを悩ませる「アトピック・ドライスキン」

hiaruron

私は長いことアトピー性皮膚炎の患者さんの肌の状態を、漢方薬剤師の立場で診てきました。

その経験から間違いなく言えるのは、患者さんの肌が一様に乾燥しているということです。カサカサして油気がなく、皮膚に触ると硬くて弾力がない。

粉がふいていたり、皮膚が落剥している人も珍しくありません。

このような乾燥肌はアトピー性皮膚炎の特徴とされ、「アトピック・ドライスキン」と呼ばれています。アトピーではなくても肌が乾燥しやすい人はいますが、アトピック・ドライスキンがただの乾燥肌と違うのは、皮膚本来のバリア機能が破綻して炎症と結びつき、激しいかゆみをともなうことです。

肌が乾燥しているかどうかは、皮膚のいちばん外側を覆っている角質層で決まります。

ここに水分がたくさん蓄えられていれば、潤いのあるみずみずしい肌になりますが、水分が少なければカサカサした乾燥肌になってしまいます。

健康な肌は、角質層の中にヒアルロン酸などのNMF(Natural Moisturizing Factor)という天然保湿因子をたくさん持っており、かつ細胞間脂質のなかにも十分な水分子を蓄えています。この水分量が多ければ、ふっくらとみずみずしい肌になります。

いまではこの角質層の水分量を測れるようになり、しっとり肌か乾燥肌か簡単にわかるようになりました。健康な肌の水分量の目安は、30パーセント前後だといわれています。

これよりも10パーセント以上少なくなるとドライスキンとみなされ、肌がカサカサしたり、柔軟性を失ってきます。

この肌のみずみずしさを決める角質層の水分は、どこからくるのでしょうか。

まず、外気から取り込む水分があります。肌の乾燥度は外気の状態と密接な関係があり、梅雨時のように湿度の高い時期は空気中から水分を取り込んでしっとりしています。ところが乾燥している冬場は取り込む水分がなく、逆に皮膚から水分が蒸発していき、カサカサしてきます。

お風呂から出た後は、ふだん乾燥肌で悩んでいる人も、比較的しっとりしているのではないでしょうか。これはお風呂の蒸気などで水分が補給されるからです。こうしたことは、日常的に肌の手入れをしている女性なら、みなさん実感されていることでしょう。

もう一つは、体内でつくられる水分です。角質層の深い部分は生きた表皮組織と接しており、そこには十分な水分が供給されています。

その水が少しずつ角質層にも上がってきて、層の間にため込まれるのです。

ところがドライスキンになると、このため込まれた水がすぐに蒸発してしまい、角質層がカラカラになってしまうのです。

本来皮膚には、外から水分が侵入したり、内側から水分が逃げたりするのを防ぐ役目があります。これがなければ、お風呂に入るたびにからだは水分を吸い込んで水ぶくれになってしまいますし、体内にたくさんある水分(人間のからだは6割から7割を水分が占めています)が蒸発してひからびてしまいます。

そうならないようなガード役を、皮膚がしているのです。そのなかでも角質層の役割は大きく、角質層にため込んだ水も外に逃がさないように、角質層自体に結合水として保湿する機能があります。

管理人

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